落款のアニメ京友禅の魅力のページ No 1/2

あらゆる伝統工芸品がそうであるように呉服も例外ではなく大量生産、廉価販売、という流れになってきてここ数年業界から本当にいい物、加工の重い本物の友禅染が姿を消してしまいました、ここではそんな失われつつある本物の友禅染めの加工工程をご紹介します、上質の絹で織られた白生地に古来からの友禅の技法を用いて染め上げると 絹の優しい光沢ともに美しく発色をしてえもいわれぬ世界へと導いてくれます

より詳しく知りたい人のために着物業界へのリンク(topページ)も用意しております(プロを目指す人は必見)、できるだけ詳しく解説をしようとして写真を多く掲載しておりますのでページ容量が大きくなっております それではではごゆっくりお楽しみ下さい。「茶屋辻」の次に染める柄を美しい糊糸目の魅力をより引き立てる「松竹梅」に決めました、高度な技術を駆使した日本トップの美しい糊糸目をご覧ください。
使用生地 松岡姫無地4丈白生地松岡姫
生地へのこだわり・・・・・超高級品を染めるのなら生地にもこだわって今回は白生地メーカー伊と幸の「松岡姫」という最高級の生地を使用しました、細糸の繊細な肌触りと優しい光沢、を持っています 
本加工の友禅染を染め上げるのは家を一軒建てるのとよく似ています 16人を超える各職人さん達の腕もさることながら まず基本の材料が良くないと仕上がりに差が出ます この松岡姫は現在染めつぶしに使われている生地としては最高級品です 国産の糸で「伊と幸」オリジナル、糸質のいい生地を使うと当然染め上がりが重厚感のあるいい色に染め上がります
 縦糸、緯糸、共に伊と幸のシルクブランド松岡姫を使用しています






写真をクリックするとクローズアップ写真を見ることが出来ます
要注意
生地に織り傷等の難があると製品になりませんので、難繰りが欠かせません、それでも染めてみると出てくる織り傷もあり、たくさん染めている中にそんな生地が混じってしまうことはどうしても避けられません、地雷を踏みませんように!!
白絵羽
白絵羽

使用する生地4丈物(16m)の生地に袖、身頃、襟、衽、八掛けと生地目が逆さまにならように墨打ちをします、そして裁断して仮絵羽に仕立てます、 付下げに比べて訪問着は柄がたくさん描かれて重厚感のある染め上がりになります、脇、後ろ身頃の縫い目にも柄が複雑に描かれますので下絵を描くためにこの様に仮絵羽に仕立てるのです。 よくお聞きするご質問の中に附け下げと訪問着の違いがありますが、附け下げはこのような白絵羽にはしません、だから附け下げは訪問着に比べて柄の合口が少なく全体に簡素な仕上がりになります 訪問着、留め袖、等の絵羽模様の着物は柄付けの加減から断ち切りの標準寸法が決っていて身丈は鯨尺4尺6寸(約174.8センチ)肩裄1尺7寸5分、袖丈1尺5寸(振り袖は3尺5寸)、身頃は前巾6寸5分、後巾8寸、衽巾4寸です、市販されている黒留め袖、訪問着などもこの寸法に染め上がっています柄の高さや身巾、身丈等、標準寸法と違う人はここで変えることが出来ます。          
墨打ち
墨打ち

これが墨打ちです、カギの衿の形に印を入れます これで上前と下前が決り裁つ事が出来ます、拡大図では糸印が見えますがこれは濃い色に染めたときに墨打ちを見失わない様にするためですこの写真ではカギ印のところが肩山で向かって右が上前です、このほかに袖、上前、下前、衿、八掛け、袖山、に印を付けて身丈、袖丈、裄、身幅、等の寸法を添えて下絵羽と指定をして絵羽屋さんへ出します
染め上がった着物を仮絵羽にする時は上げ絵羽と言います、絵羽屋さんも少なくなりました生地を裁ってこの様に仮絵羽にするのが仕事です、一枚仕立てて¥2000位です、裁ち違いなど許されない結構責任の重い仕事です、簡単なように見える仕事でも上手下手があり馴れたいい職人さんでないと生地の向きや寸法が狂うことがあります。



写真をクリックするとクローズアップ写真を見ることが出来ます。
要注意 墨打ちの印を間違えて入れてしまうと、裁って羽縫いをするときに寸法が足りなくなったり 生地目(織り順)を逆さまに縫ってしまい染め上げた時に反射が変わり色が違うように見えます、特に駒無地系統の生地は気をつけないとこの様な特徴があります、使用する生地によっては逆さまになっても変化の出にくい生地(縮緬系)があり、ほとんどの高級品が縮緬系統(河藤7号など)の生地で染められているのはこの要因もあるようです、この松岡姫も縮緬系の生地で扱いは良いほうです。
下絵
下絵
我々の業界では過去からのたくさんの資料(図案、写真、技術)があり、その中 から構想に合う柄を組み合わせたり新しく考案をした柄を取り入れたりして使っております、まったくゼロからの出発ではないのです、写真は草稿(紙に描いた図案)を生地に写し取っているところです、ガラスのテーブルの下からライトが映っているのが見えるでしょうか? 
図案家さんでは生地に直接柄を描きますので「下絵」を描くといい紙に柄を描くのを「草稿」にするといいます
 まず紙に草稿を(図案)を描きこれを下にして生地を乗せ青花(ムラサキツユクサの汁、今では青花落としをしなくてもいい化学青花を使用している)で下絵を筆(ペン)で描きます、 この染料は水に触れることで消えます、きれいに描かれた下絵はまるで水墨画を見ているようでそれだけでも結構美しいものです

下絵は描いてから約2ヶ月ほど経つと折角のこの下絵も色が薄くなり自然に消えてしまいます、上前の柄の高さ等は年齢と身長によって変わります、この着物の場合は年代を50歳代〜70代を目標にしました、豪華に表現をしましたので上前の柄丈は天で1尺9寸ほど取っています 





写真をクリックするとクローズアップ写真を見ることが出来ます。 
訪問着松竹梅の下絵
糊糸目
松竹梅訪問着糊糸目上前

この時点で仮絵羽は解いて元の通りに反物に羽縫いをします、餅糊の糸目を引くにはまず自分の手に合った餅糊を作らなければなりません、餅米の粉を蒸して塩、アエンマツ、糠、石灰、スオウ、等 糸目職人独自の配合で糊を作ります
職人さんはこの糊が作れたら仕事の半分は出来たのと同じといいます 餅糊は生ものですのであまり長く保存は利きません、冷蔵庫に入れて1週間ほど持ちますがそれ以後は又新しく作り直さなければならずゴム糸目と違いこの糊を使う人が少なくなっているのも仕方がないことでしょう

出来上がった糊はこの筒に入れ下絵の細い線の上をなぞります、これがゴム糸目の青糸目と比べ餅糊の赤糸目(現在はスオウを入れる量によって糸目の色が変わるために赤糸目はあまり使われておりません)線で白く上げるところはアエンマツという金属の粉を入れた糊(マツ糊という)を用います 糊糸目の線をきれいに出すには何度も同じ線の上をなぞり糊を盛り上げないと友禅地入をしたときに生地に食われて(しみこんで)糸目の防染効果(糸目の線)が消えてしまいます,
この訪問着「松竹梅」はきれいな糊糸目を引き立てるためにマツ糊のみを使用しています、糊の色は写真のように緑がかった色です、下絵とこの糸目という加工が京友禅の基となる加工です、この行程に丹念に手を入れることにより仕上がりに差が出てきます、細かく丁寧に描けば描くほど表現力も増し高級品になりますが、この後の彩色、伏せ糊、金加工、とすべての加工もそれに応じて重い仕事になります、高級品を見分ける時のひとつの判断の基準になります。

太い青字をクリックすると写真を見ることが出来ます
「餅糊を使った友禅染めの着物はかすかにお餅のいい匂いがしますね」と仕立て屋さんが伝えてくれまし
糊糸目の作業
糊糸目
柄は違いますが糊糸目を引いているところです 線上げ〈骨上げ)という糸目の線は線自身が柄になり綺麗な線上げはそれだけで美しく見栄えがいいものです

本来の糸目の役割は友禅を挿すための防染です 綺麗な糸目も友禅を挿してしまうと補助的な役割となってしまいます 
松竹梅訪問着糊糸目胸柄
糸目職人さんの腕・・餅糊はゴム糊に比べて堅いために下絵の上に糊を引くのもコツが入ります 腕のいい職人さんは決まって細い目が引けてこの写真のように躍動感があり線に伸びがあります、こんな所は習字の筆の運びとよく似ています、筒を使いながらまるで筆で書いたように強弱をつけて糸目を引き絵心のある職人さんは下絵にとらわれず少しぐらいはみ出しても勢いのあるいい味を出しています、拡大写真で躍動感のある糸目をご覧下さい、手が動くというか毎日の仕事の上で訓練が出来て自然といい糸目が引けるものです、特に餅糊でこの糸目の引ける職人さんは他で見たことがありません


写真をクリックするとクローズアップ写真を見ることが出来ます
要注意 糊を置いた以上ここからは適切な時期に次の加工に送る必要があります、餅糊は乾き過ぎるとペキペキと折れやすく折れると防染効果が落ちて染料が染み込みます、糊糸目を置いた生地は赤子を抱くごとくに扱えといわれるのはそのためです 
糊地入れ
(友禅地入れ)

白生地の上に描かれた糊糸目はそれだけでは生地の上に乗っているだけで防染効果はなく(生地の裏から染料が染みてくる)、布海苔と豆汁を混ぜた液で地入れ(生地に塗布)をすることにより糊が生地にしみこみ防染効果を発揮します 友禅地入れも糸目職人さんが使う餅糊の混ぜ物や固さが違うために手加減がいりま
 
友禅〈色挿し)
友禅師の仕事場

ここは友禅師さんの仕事場です 彩色の色は地色とよく合う色を組み合わせて統一感がでるように配色をし指定します、餅糊を使った着物は前友禅といい地色を見ずに彩色の色を決めるために慣れが必要で

染料は酸性染料という水性の化学染料に滲み止めなどを混ぜて使います、強調するところや白くしたいところは胡粉(顔料)を使用します、全体をやや薄い目に挿して様子を見ます、最初から濃い色に挿してしまうと補正が効かないことになります、柄の細かいところをはみ出さないように色を入れ、広いところはムラにならないようにします(細かい色挿しよりも広いところの方がムラになりやすく難しいものなのです)  
友禅〈色挿し)
色挿し
色挿し友禅は塗りっきりで一色で染めてしまうより一枚の葉、一輪の花にもボカシを入れると柄に深みと気品が出てきます、ボカシを入れることは同じ所に何度も筆を入れることになるために時間、手間が何倍か掛かり丁寧に染め上げられた着物にはこのボカシが多用されています、挿された友禅の色は蒸しをかけることにより発色をします、友禅師さんは小さな蒸し器を用意していて発色した色を確認しながら仕事を進めます

この行程で着物の年齢や個性が決まってしまうので気の抜けないところです、この着物の染め上がりの予想は糸目を引き立てるために友禅を極力少なくして淡彩でなおかつ重厚感を持たせて着用年齢の巾を広げようとしています マツ糊を置いている松と波のところは糸目の線が残り糊糸目独特の薄いベーュの線が出てきます、淡い地色を持ってくると線がぼやけてしまうために地色は中間色か濃い目の地色を予定しています 地色は紫と茶とグレーが混じったような色になります
 











写真をクリックするとクローズアップ写真を見ることが出来ます
        
要注意 ここの行程が一番重要なところです、友禅師の個性のでるところでこちらの意向をよく伝えておかないと彩色(友禅)された着物を見て落胆することになりかねません そのためには衽裏や袖の部分など目立たないところから彩色をしてみて納得がいけば身頃の彩色へと進みます、着物の命とも言うべき重要なところを任せてしまうのですからお誂えの場合は特に注意をし身頃の彩色の途中も見て確認しておくことは欠かせません。
友禅蒸し
蒸し屋さん
彩色された色は未だ生地に定着しておらず、地色を引くために伏せ糊をこの彩色の上に置きますと折角彩色した友禅の染料を糊が吸ってしまいます、それでまず挿された友禅に蒸しをかけることで彩色された色を定着させます、この写真は準備のできた着物を蒸しにかけるところです、

地色の濃い色と薄い色に分けて、この中に入れて下の方から蒸気を入れて100度ぐらいまで温度を上げてゆき30分〜1時間前後で蒸し上がります、濃い地色は二回三回と蒸しをかけます、写真の扉の向こうには蒸し屋さんらしくもうもうと蒸気が揚がっているのですが残念ながら上手く映っていません、この蒸しを入れる部屋の名称が解らず蒸し器?というのも変だなと思って従業員の方に尋ねたところ可愛い声で「私たちは蒸し箱と呼んでます」と答えてくれました。
伏せ糊
伏せ糊

友禅が蒸しが上がったら、色が染まっている柄の部分をもう一度全部餅糊で伏せます、糊で伏せると水分と糊でかなりかさばり重くなりますなります この糊が
適度に乾くのを待ち彩色された友禅に地色が染まらないようにしてから引き染めをします、 地色よりも先に友禅を挿すのが糊糸目の加工の特徴です地色を染めず(見ずに)に先に友禅を挿すために色合わせには染め上がりを予想し慣れが必要です、餅糊は水に溶けるために地色を先に染めることが出来ないのです(ゴム糸目は水に溶けないために地色を染めてから友禅を挿します) この写真は彩色をした上に伏せ糊を置いてその上におが屑をまぶしたところです、もちろん おが屑も灰汁抜きがしてあり、糊が他のところに付くのを防いでいます。                     

餅糊は長く置くと腐ります 糸目を引いた以上的確に次の工程に廻す必要があます ゆっくりと丁寧に仕上げるというと聞こえがいいのですが季節によっては乾燥しすぎたりカビが生えたりする危険があります この糸目はゴム糸目でも引けないような繊細で切れ味鋭い糊糸目が引けています
地染め(引き染め)
引き染め
地色の引き染めです、肝心な色合せをするのは北向きの窓の自然光が季節や天候に左右されずに一番ですが、この窓がないところでは特殊な蛍光灯を使い、色見本と違わないようにしています、均一な濃さに染めるために布海苔と豆汁を混ぜた液で地入れをし刷毛にて手早く引き染めをします、濃い色は2度3度と繰り返します
引き染めは早く乾きすぎると染めムラがおこり易く、そのために工場では夏場など乾燥しやすい季節には、ゆっくりと乾くように土間に水を打ち絶えず湿らせてあります、

染めるときには曇天で乾かすときには晴天が理想ですが自然相手ですのでそんな
にうまくいくとは限りません この写真は引き染めをする前に地入れをしているところです、引き染めの染料は酸性染料ですがこれに染料の溶解剤や滲み止めなど色々な材料を混ぜて使用します、引き染屋さんのノウハウです。
引き染め用染料
色合わせのための基本となる染料を置いています 色合わせのできる職人さんは修行をされたところによって基本とする色が違うそうです 現在ならコンピュー
ターでデーターベース化されるのでしょうがわずかな色の違いは混ぜる染料の匙加減で行います 腕と感の世界で
要注意 濃い色は染めたときに黒く見えるため染めムラの判断がしにくく、3丈(12メートル)の長さに生地を張りますので最初と終わりの部分の色が微妙に変わることがあり、永年経験を積んだ熟練工でも多少の色ムラはどうしても避けられません
水元
引き染め、水元

地色を定着させるために友禅蒸しと同じ蒸し屋さんで蒸しをかけます、蒸しをかける温度によって発色する色が微妙に変わります、特に濃い色の場合は濡れていると黒っぽく見えるために色合せが難しく蒸し上がった色を見てからもう一度色合せのために引き染めをすることがあります

引き染屋さんによっては見本色に合わせるために自分のところで蒸しの設備(蒸し箱)まで用意しているところがあるほどです、地色の蒸しは引き染め屋さんが蒸しをかけてきて引き染め工場内の水洗場で水元(水洗い)をします

ここで柄を伏せてあった糊は全部水で洗い落します、そして工場内で張って乾かします、昔は京都の町中を流れる鴨川で水元(水洗)をしていましたが今では染工場での自家水洗、もしくは蒸し屋さんでの外注で水元をしています
       このページの先頭に戻る
メールヘ
  必ず返信いたします 届かないときは再度お送りくださiい  次のページへ
ボタン1top ボタン1京友禅の魅力 ボタン4振袖 ボタン4訪問着 ボタン4茶席の着物 ボタン4色無地 ボタン4名古屋帯 ボタン4袋帯
ボタン1楽友禅 ボタン4悉皆 ボタン6お誂えのQ&A ボタン1友禅染めの種類
ボタン4オリジナル手描小紋 ボタン4特選品 ボタン4江戸小紋